極超久しぶりに政治的なこと書きます。前が事業仕分けのときで、その前になると覚えてないから某ゼミにいた頃にさかのぼるんですかね。ま、仕方ないね。
明日は選挙行きましょう、って話です。
特にこのブログの読者層にあたる若い世代の皆さん。ええ、30代すら十分含んでいいと思います。どこの党に限った話ではないですが、少子高齢化のささやかれる現在、政治家が票を獲得するためには高齢者に優しいシステム作りをうたうのはごく当たり前の戦術になります。極端な話をすれば、例えそれが世代間格差を拡大させるシステムであっても。そしてただでさえ少子高齢化が進んでいる中で、20代、30代の投票率はかなり低いです。
実際のデータをもとに
東京都の住民基本台帳による2010年1月1日現在の世代別人口と東京都の選挙管理委員会の公表した前回の衆議院選挙の世代別投票率をまとめてみました。20歳と21〜24歳について投票率が分かれていたので、ここは(20歳の投票率) * 0.2 + (21〜24歳の投票率) * 0.8という処理で重み付き平均を取ることにしました。*1
年齢 | 人口 | 投票率 | 実投票数*2 |
---|---|---|---|
20-24 | 712878 | 44.06% | 314094 |
25-29 | 942805 | 47.62% | 448964 |
30-34 | 1045230 | 56.03% | 585642 |
35-39 | 1147207 | 62.40% | 715857 |
40-44 | 1015062 | 67.72% | 687400 |
45-49 | 840015 | 70.81% | 594814 |
50-54 | 709170 | 73.30% | 519821 |
55-59 | 769201 | 76.53% | 588670 |
60-64 | 864805 | 79.51% | 687606 |
65-69 | 770617 | 82.19% | 633370 |
70以上 | 1787097 | 71.18% | 1272056 |
もうちょっとおおまかに分けます。20〜39、40〜59、それ以上で見てみましょう。百分率が合計100を超えるのは小数第3位で四捨五入してるためです。
年齢 | 人口 | 実投票数 | 有権者全体に対する割合 | 実投票全体に対する割合 |
---|---|---|---|---|
20-39 | 3848120 | 2064557 | 36.29% | 29.29% |
40-59 | 3333448 | 2390705 | 31.44% | 33.92% |
60以上 | 3422519 | 2593032 | 32.28% | 36.79% |
考察:データからわかることだけで
少子高齢化といえども、とりあえず簡単に3区分してみる限りでは若い世代が数の上で圧倒的な差をつけられている、ということはありません。ただ、実際に投票している人の実投票全体に対する割合は、有権者数の全体に対する割合から大きく離れていることがわかります。数の上で多いはずの若い世代の有権者がいかに票を投じていないかということが明確にわかります。
私見
もちろん、この3区分が適切かどうか、投票する世代の傾向を適切に表してるかどうか、という観点で見れば、個人的には大間違いだと思います。単純に年齢で区切ってわかりやすくしただけですから。
40代後半〜50代、つまり自分の親の世代にあたりますが、この世代ともなると会社内で重要なポジションを持つようになり収入も若い世代に比べればかなり多くなっています。そろそろ定年退職後の老後のことを考え出すようになります。そうすると、投票の傾向としては「自分たちの老後が安心できる」、つまり高齢層に近い判断を下すようになるのは自然な考えです。
以上のデータから見ても、政治家が高齢層に有利な政策を(仮にそれが10年〜20年の将来世代にツケを残すとしても)打ち出すことは何ら不自然な行動ではなく、むしろ非常に理にかなっているといえるでしょう。
さらにもう一つ重要な事実として、これが「この前の衆議院総選挙」のデータ、だということです。東京都選挙管理委員会の発表するその前回の衆議院総選挙からの投票率の差分を見ると、確かに若い世代の投票は増えています。でもこれが、総選挙前における「政権交代」をうたったセンセーショナルな広告の効果によるものだったとしたら?増え方としてはメディアの影響の大きい若年層の投票が特に伸びていることから、そのような効果があったのかとも考えられます*3。もしこの仮定が成り立つとしたら、今後の選挙においては「若者を無視すること」が「より有効な選択」ということになる、ということです。
で、何でこれを今問題視してるの?
今回の選挙の「争点」と「されている」*4のが「消費税」の議論で、年金制度の立て直しなどにあてられる財源確保を目的としているから。詳しい解説は他サイトに任せますが、「増税」を打ち出すからには何かを減免することで「見た目上の釣り合い」を取ろうとするわけですが、そこで現在よりも若い世代に負担させ、高齢層が支払う税金を軽くする、ということもできちゃうわけです。この辺はほんといい資料見つからないしポインタを出すことで特定勢力の宣伝になってしまってはまずいのでこの程度にとどめておきます。
まぁお決まりですが
最後は自分で判断して投票してください。逃げるようですが、筆者もいちおう国際政治のゼミに1年身を置いてたことはありますが、本業はコンピュータサイエンスなので、この程度の専門知識しかないのは、そんなもんです。もっと多くの立場の評論を読んで、多くの立場の意見を読んで聞いて、自分で判断して投票してください。
似たようなことをもっと上手い言葉でまとめているのがあったので
現在の世代別投票率が続く限り「高齢者のほうを向いた政策」は終わらない - シロクマの屑籠(汎適所属)
ちょっと前の記事になりますが、自分が上で書いてきたことをもっとちゃんとした言葉でまとめてたので紹介。