物理的/生理的な常識 + 人間の耳の分解能

かなりあたりまえの話ですが忘れがちなことなのでメモ。


物理的な常識に従っていえば、弦楽器の動きを見て管楽器吹いたらΔt=2L/Vs+δ(Lは弦と管の距離、Vsは音速、δは息を入れてから音になるまでのディレイ)の遅れが生じるだろ…。厳密にいえば神経の反応によるディレイもあるけど演奏者が集中欠けてる人でもないと*1誤差。人間の耳の分解能に引っかからない程度。
つまり、「指揮を見ろ」「コンマスを見ろ」という表現は「見てから音を出すこと考えろ」ではなくて、「指揮やコンマスは予備動作も出してるからそれを読み取って適切なタイミングで入れろ」ということを意味している。はず。
さらに、「指揮を見ろ」「コンマスを見ろ」という表現が多用されるimplicationは、単純に「おまえら意識が足りてない」ということ以上に、管楽器がアインザッツ出すときは指揮やコンマスと同じこと考えてやらなきゃダメよ、ということか。「ブレスの仕方で次の音楽が決まる」ということは、体の準備もさることながら*2、他の人にちゃんとザッツが伝わるためにもブレスの仕方は重要、というimplicationに違いない。


で、いちいち物理法則なんて考えながら吹いてられないので*3、それが体に染み付くくらい当たり前のことになってないとダメよということなんですが、こんなこと書いてる時点で当たり前のことになってないということです。ヴァー。


あと人間のリズムに対する分解能について軽く考察。意外に1/50sまではなんとかなりそう、とは漠然と思ってました。四分音符120に対して32分音符くらいならわりと当たり前に分解できないと四分音符120の16分音符が演奏できないので、1/2秒のさらに1/8、つまり1/16sまでは四分音符120の16分音符を演奏するには最低限必要なレベルで、それが拍に対して「走ってる」「遅れてる」「滑ってる」の感覚があるということはさらにその1/2のレベル、1/32までは分解できてるということになる。さすがに1/2も遅れたら困るだろうw。逆に言うとある程度生の音楽に触れてる人はそれくらいの感覚はあるんじゃないかと思う。
そう考えると、某「びーとまにあつーでぃーえっくす」なるゲームでは四分音符180くらいの16分も「走ってる」「遅れてる」の感覚がないと「あなざーふめんがひからない」らしいので、上位プレイヤーな方は相当鋭敏なリズム感覚持ってるんでしょうね。某打楽器奏者な10段の人めっちゃ光ってたし。
まぁ、常にそのレベルで感知してるわけではないとは思いますが。普段は相当粗い感覚でしょうけど、演奏会の場においては聴いてる人もそれ相応の分解能を長期間維持する集中力で来るでしょうから誤魔化せるなんて思わないほうがいいってことでしょうね。
というか実際に認知科学系の論文でありそうな話ですね。誰か詳しい方教えてくださいな。




余談。ファゴットパートの相方と「指数関数的なクレッシェンド」みたいな話してたときに「指数関数って文系の人に通じないらしいねー」*4って話が出たけど、指数関数じゃなくてもこのくらいの話を普通の人にしたらさすがにひくよな。だからこっちに書くわけですけどw

*1:しかし意外にこれ重要なファクターだったりするんだ

*2:急速に収縮したら体は急速に戻るしかないし、その逆も然り

*3:とはいっても「音程の微調整」は物理法則意識してやってるんですけど

*4:経済系じゃないと学校で習わないままって話なので