結局間に合わなかったので今日で2冊

あと1冊増える予定。

ローマ人の物語〈25〉賢帝の世紀〈中〉 (新潮文庫)

ローマ人の物語〈25〉賢帝の世紀〈中〉 (新潮文庫)

ローマ人の物語〈26〉賢帝の世紀〈下〉 (新潮文庫)

ローマ人の物語〈26〉賢帝の世紀〈下〉 (新潮文庫)

というわけで単行本9巻相当の「賢帝の世紀」読了。
前回のトライアヌスに続きハドリアヌスアントニヌス・ピウスまで。第2回三頭政治のほうのアントニウスの印象が強いせいで世界史の試験でもアントニウス・ピウスだとかマルクス・アウレリウスアントニウスって書きそうになったけど違います。
そしてどうしてこうもある意味理想的な皇帝ばっかり続いてるんだろうか、さすが「五賢帝時代」と言われるだけのことはある。ハドリアヌスは広大なローマ帝国全土を周り属州民の陳情を待つまでもなく自ら必要とされる改革を実施し、アントニヌス・ピウスは先代2人の改革を定着させる役割を担った。もちろんそれぞれの人が得意としたやり方に沿っていたからうまくいったのであり、ハドリアヌスの晩年に生じた混乱を落ち着けるには人格者アントニヌス・ピウスはまさに適材だったのだろう。こうも素晴らしい時代が続いてると古代ローマに生まれてればよかったなんて思ってしまうではないか。
ユダヤ人のディアスポラハドリアヌスの時代に決定的となったということを改めて確認(世界史の授業ではやったはずなんだけど忘れてたようだ)。敗者を従属させるのではなく勝者の一部として同化する(→同化政策、っていうとどうも日本では日清戦争以降の韓国に対する対応を連想させてしまいがちだけれどそうではなく、ローマの自由民が与えられている自由に近い自由を与えるやり方での「同化」)という方法で一大帝国を築き上げたローマにとって、一神教を守るユダヤは非常に多くの問題をつきつけてきた。カエサルの時代にはユダヤの特殊性を認めて神聖王国を維持したままローマの一部に組み込むという形をとっていたのがその後は政教分離を実施させた。結局、ローマ人にとっての自由とユダヤ人にとっての自由の形が違ったため、不幸な誤解を抱えたまま戦争によってディアスポラを招く結果になった。異文化理解という面では非常に長けていたはずのローマですらこうだったのだから、真に異文化を理解するということはやはり並大抵のことではないのだろう。